仮想通貨とは何か?仮想通貨の定義

「仮想通貨」とはなんでしょうか?

実は、「仮想通貨」をきちんと定義することは非常に難しいという事を理解していただきたいのです。

 

法律上の定義

本記事の執筆時現在(2017年5月16日)、法律上の定義は次のようになっています。

資金決済に関する法律 第二条 5による定義:

この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

本法律は、「代価の弁済のために」「不特定の者に対して」使用できる「財産的価値」であると定められているため、国が「仮想通貨」「通貨」として認めたと解釈する事ができます。(そうすると、仮想通貨の売買には消費税がかからない事になります。)

また「電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く」とありますので、円やドル、ユーロといった通貨はたとえ電子的方法により記録された状態であっても「仮想通貨」とは呼ばないという事になります。

普段仮想通貨の使用や売買を行う時はここまで厳密な定義を意識する必要はありませんが、日本において法的な措置を講ずる際は、この法律の定義に基づいて解釈、裁判となりそうですね。

 

辞書的な定義

オンラインゲームコミュニティーなど特定のサービスで使用できる通貨。現金や獲得したポイントとの交換によって入手し、商品やサービスを購入したり、ゲームで使用するアイテムと交換したりすることができる。不正防止のために高度な暗号化技術を用いているものは、暗号通貨ともいう。デジタル通貨バーチャルカレンシー

(デジタル大辞泉)

 

インターネット上でのみ流通する,紙幣や貨幣を持たず公的金融機関を媒介しない通貨。

(百科事典マイペディア)

 

仮想通貨とは、オンラインサービス経済活動を行うことができる貨幣価値のことである。

仮想通貨は特定のサービス内でのみ貨幣価値を持つものであり、一般的に現金換算したり他のサービス使用したりする価値は持たない。仮想通貨を用いてアイテム購入すれば、より有利な条件環境サービス利用できる。例えば、MMORPGにおいて強力な武器道具購入したり、SNSなどでアバターに着せる洋服購入したり、といったことが可能になる。

仮想通貨の入手方法としては、サービス利用する中でポイントを貯めていく方法一般的であると言えるが、最近では現金一定額の仮想通貨を購入できる例も登場している。

仮想通貨をユーザー間で現金によって取引することは、リアルマネートレードRMT)と呼ばれるMMORPGなどではRMT利用規約禁止されていることが多い。メタバース一種であるSecond Lifeのように、RMT公的認められている例もある。

仮想通貨の主な例としては、Second Lifeにおける「リンデンドル」、ハンゲームサービスにおける「ハンコイン」、モバゲータウンサービスにおける「モバゴールド」と「モバコイン」などを挙げることができる。

 (Weblio 「IT用語辞典バイナリ」)

 

仮想通貨(かそうつうか)とは法定通貨に対して特定の国家による価値の保証を持たない通貨のこと。

(Wikipedia)

 実際、このように「仮想通貨」の定義自体があいまいなもので、これまでも、法定通貨以外でインターネット上において経済活動を行えるものを総称して「仮想通貨」と呼んでいた現状がありました。

最近の例で言うとポケモンGO」「ポケコイン」を出すとわかりやすいかもしれません。(「ポケモンGO」内でアイテムを買う事ができる。)

また、この定義からは法定通貨(日本における円)との交換を保証したものではない事がわかります。

理想的には法定通貨との交換が保証されなくても、仮想通貨だけで生活できるのが一番良いのですが…現実の世界では難しいので、法定通貨と交換できる事が必要です。(オンラインサービスの中では生活が成り立つのかもしれませんが…)

「通貨」とは何か

そもそも「通貨」とは何でしょうか?

学説によって多少の相違はありますが、通貨には概ね以下の三つの機能があるとされています。

1、価値の基準(価値の尺度)

価値の基準(価値の尺度)とは、商品やサービスの価値のものさしとしての機能の事です。

Xさんは米をたくさんもっていて、Yさんは肉をたくさんもっているとします。

XさんとYさんが米と肉を交換する取引を始めました。

しかし、ここで「価値の基準」がないと、米と肉を何gずつ交換すれば良いのかわかりませんよね。

そこで、例えば米1kg=1000円、肉500g=1000円と決めてしまえば、米1kgと肉500gを交換すれば良いとわかります。

単位を決めて、商品やサービスの価値を数字で表す事で価値の基準を示す事ができるのです。

2、価値の交換(交換の手段、決済)

価値の交換(交換の手段、決済)とは、商品やサービスの売買の時に、決済手段として使われるという機能の事です。

Xさんが米1kgを1000円で売ったとします。すると、米1kgという価値と1000円という価値を交換した事になり、1000円を手に入れます。

次に、その1000円をもってYさんのところへ行き、肉500gを1000円で買うと、1000円という価値と肉500gという価値を交換したことになります。

価値の交換機能が働かないと、XさんとYさんが同時に相手の物を欲しがっていない限り取引は成立しません。XさんがYさんに「肉が欲しい」と言っても、Yさんに「米はいらない」と言われてしまえばそれまでです。

そこで、決済手段として媒介役が必要になってくるわけです。

これが、価値の交換機能になります。

3、価値の保存

価値の保存とは、商品やサービスの価値をそのまま保存しておく機能の事です。

Xさんの米は新米と古い米では品質が変わりますから、時間と共に価値は下がると言えます。

Yさんの肉も数日もしないうちに腐ってしまい、価値は無くなってしまいます。

一方「通貨」は時間が経過する事で腐ったり、価値が低下する事はありません。(ボロボロでも1万円札は1万円の価値があります。)

したがって、価値が減る前に肉500gを1000円で売って、1000円を持ち続けていれば、新鮮な肉500gの価値がずっと手元で保存されることになります。

これが、価値の保存機能になります。

 

「通貨」には以上三つの機能があり、逆にこの三つの機能が備わっていれば「通貨」だと言えます。

では、「仮想通貨」にはこの三つの機能が備わっているのでしょうか?

これについては、後日記事にしたいと思います。